「然るべき行いの元に、然るべき結果が現れた、それだけのことなのです」
と、#35末の台詞にあるのですが、
この言いまわしに関しては、正直自分で書いときながら、国語として正しいのか考えるところがあります
あるいは、他作品のどこかで見たものを引っ張っているかもしれません
但しそれは、意味が決しておかしいというわけではなく、それをこれから解説します
■然るべき行いの元に
劇中のものを引用すれば
「いいですか、悪事を働けば、先程の女が捕まるように、悪い行いをすれば、神から罰が与えられます」
ここに掛けられた言葉です然る=相応な、でして、そこに”べき”が付いて、そうするのが常である、あるいはふさわしいということです
なので、今回#35でラーラフラウが何を言いたいのか、解釈すると以下のようになり
「悪党には悪党らしい行いがあって、その結果もまた相応(ふさわしい)ものだ」となり、
つまるところ彼女が用いているのは、罰論だということになります
一方、アウラクインも全く同じように語りますが、何に対して当てているかは、またこれが違います
粉屋がちゃんとした輸送の手配をしていないから、そういう指摘を受けているのですが
その手配にも理由があって、決して悪い運用をしているわけではない
それは日雇いを助けることでもあるし、安い価格提供も可能にしており、インフラとして善く回っている
でもそれが粗悪となると顔をしかめるところですが、果たしてそれが困窮するほど負担をするまで重要であるか
=その社会設計は正しいのか、これがみんなの悩んだところです
そして話の根幹は、その中でお願いする日雇いが、果たして粗悪なのか、
日雇いを遣っている粉屋はいい加減なのか、ということで
そこで助けとなったのが、そのときの日雇いであったフランチェスカの質の良さです
一見すれば粉屋の然るべき行い、ですが、彼女が持ち出したのは、フランチェスカの然るべき行いです。
そこだけ明かせば後は簡単、言いたい放題すればなんでも結果として反映される、
彼女の実力=「雄牛の評価」は、それだけ確かな真実なのだという話で、然るべき結果、ということになります。
#36の最後の方に
「然るべき行いの元に、然るべき結果が現れたわ」
「ええ、全く」
「ええ、全く」
とやり取りし、ここでアウラクインは上記の意味で言いますが、
粉屋は、ラーラフラウに当たった罰だと解釈しています。
アウラクインの「然るべき」には、
善いものに(フランチェスカに)従えば(粉屋のように)よい結果をもたらすし、
悪いものに(組合に)従えば(ラーラフラウのように)悪い結果をもたらす、
そこにはラーラフラウが説く罰論ですらその構成の一部でしかない、広域な視野があったという話です。
そして38では「然る行い」と、短く言っていますが、
べきをはずしたという事で、対象の不特定、善悪の判断がなされていません
どうやらアウラクインには、イタチ的行いに納得していない部分があるようです
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by usacchi2006
| 2023-03-16 03:30
| 楽屋裏
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